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カルソネラ・ルディアイ (''Candidatus'' Carsonella ruddii) とは、ガンマプロテオバクテリア綱に属する真正細菌の1種である。2013年現在、全ての生物の中で最小のゲノムを持つ。また、生存に必須と推定されている多くの遺伝子を欠く事を特徴としている。 == ゲノムサイズ == 2006年、理化学研究所、北里大学、放送大学、アリゾナ大学が合同でカルソネラ・ルディアイのゲノム解析を行い、全ゲノム塩基配列を決定した。その結果、ゲノムサイズが15万9662塩基対しかないことがわかった〔。このサイズは、それまでに知られていたナノアルカエウム・エクウィタンス (''Nanoarchaeum equitans'') の49万0885塩基対よりも小さく〔A new phylum of Archaea represented by a nanosized hyperthermophilic symbiont ''nature'' 〕、葉緑体と同程度である〔。また、メガウイルス・キレンシス (''Megavirus Chilensis'') の125万9179塩基対〔Distant Mimivirus relative with a larger genome highlights the fundamental features of Megaviridae ''Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America'' 〕など、いくつかのウイルスはこれより大きなゲノムを持つ。50万塩基対程度のゲノムサイズを持つ生物はマイコプラズマ・ゲニタリウム (''Mycoplasma genitalium'') などいくつか知られており、生物のゲノムはこれ以上小さくならないと考えられていた。しかし、カルソネラ・ルディアイはこれらの3分の1以下と極端に小さい〔。 また、オープンリーディングフレーム (ORF) も182しか存在しない。これはマイコプラズマ・ゲニタリウムの482の半分以下である。極端に短いために、生命維持に必須と考えられている遺伝子の多くが存在しない。また、ORFのオーソログが他の真正細菌と比べて約20%程度短く、ORFの約90%が隣接するORFとオーバーラップしている。これらによって極限までゲノムサイズを小さくしていると考えられている〔。 カルソネラ・ルディアイの全ゲノム塩基配列の決定には、キジラミの1種 ''Pachypsylla venusta'' の菌細胞を用いた。この昆虫はカルソネラ・ルディアイ以外に共生微生物を持たないことが確認されている。この菌細胞から取り出したゲノムをMDA法で増幅した後に全ゲノムショットガンシーケンス法で配列決定を行った。これらの研究結果は、2006年10月13日付けのサイエンス誌に掲載された〔。このような方法のため、培養に成功していない原核生物に与えられる地位である "''Candidatus''" が頭に付けられており、暫定的な学名である "Carsonella ruddii" はイタリック体ではなく立体になっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「カルソネラ・ルディアイ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Candidatus Carsonella ruddii 」があります。 スポンサード リンク
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